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日経DUALの記事を読んで・・・ご夫婦の生の声①

Aさん (弁護士 妻)

私としては、まさに、子どもの安全を優先すべきという点について黒田先生のおっしゃる通りだと思いながら読みました。

 とはいいながら、私も不妊治療を始めようとしたときには、やはり成功率 (妊娠率) を知りたいと思いました。しかし、実際に当事者となって、黒田先生のところに通い始め、そういう問題ではないと思うようになりました。

 私自身も、お客様に勝訴率はどれぐらいですか、などと言われると困ってしまいます。勝ち筋の事案だけを受けている弁護士は勝訴率は高いでしょうが、紛争の解決になっているかどうかはわかりませんし、依頼者の満足度が高いかどうかもわかりません。もちろん、結果も大事です。しかし、私は依頼者の方のその後の人生に少しでもよい結果となってほしいと紛争の解決のお手伝いをしており、そもそも勝訴率など把握もしていません。不妊治療についても、とても似た部分があると思います。それぞれの夫婦が抱える問題は千差万別であり、自分たち夫婦の場合にどのような問題があり、どのような治療がありうるのかというのは、他の夫婦の方の結果の確率で測れるものではないと思っています。

 一方で、不妊治療における安全性の面については、十分に光が当てられていないと思います。安全面を強調することは、障害児の排除につながりかねない側面もあり、すごく難しい点かとも思いますが、医療技術には必ずリスクを伴います。また、そのリスクに関する説明を患者側は知る権利がありますし、医師側も説明する義務があります。

 また、生まれてきた子どもにや不妊治療に対する偏見もまだまだあると思います。いまだに、「あそこの子は双子だって、不妊治療だったのかな」というような言い方を耳にします。そもそも不妊「治療」という言葉も好きではありません。いわゆる病気の治療のような「治療」ではないからです。自分たちだけでは生殖ができないという意味では「治療」なのかもしれないですが、根本的な原因を「治療」するわけではなく、生殖補助なのだと思っています。

 社会として、女性のキャリアの問題などに目を向けるのではなく、なぜこんなに自然に子どもを授かることが難しくなってしまったのかという根本的な原因にもぜひ目を向けてもらいたいです。晩産化だけが問題ではありません。なぜ、これほど精子の質・量に問題がある男性が増えてしまったのかということを社会として真面目に考えなければ、百年後には大変なことになってしまうと思います。

 直近の問題として、どのように生殖補助を行うかということが、子どもの安全や当事者の人生への選択、家族を形成する権利など様々な観点から検討される必要があると思っています。それと同時に、なぜこのような現象が生じているのかについても、問題意識を共有し、解決に向けた議論、検討がされるようになることを切に願っています。

 取り急ぎ、記事を拝見し、私が不妊治療について思っていることを申し上げました。脈絡なくて申し訳ありません。黒田先生がお忙しい中、生まれてくる子どもの立場から発言してくださっていることをとても心強く思っております。日経DUALの記事を読んで・・・ご夫婦の生の声